蕎麦について

2021/12/01 コラム

蕎麦について

そば(蕎麦)は、タデ科の植物で、やせ地や寒冷地でも栽培可能で、生育期間も短く、肥料もあまり必要としないため、米や小麦が凶作のときに主食の代用として栽培される救荒作物や備蓄用の作物として、古くから世界各地で利用されてきました。

 

そばの原産地は中国南西部の雲南省であるといわれており、日本には少なくとも2500年前までには伝来したと考えられています。

日本では、そばは主にそば切り(麺状にしたもの)として食されていますが、海外に目を向けると、南アジアではそば粉のパンケーキのロティ、東ヨーロッパではそば粥のカーシャ、フランスではクレープのガレットなど世界各地で様々な方法で親しまれています。

 

 

  そば粉のパンケーキ「ロティ」

 

 

そばの主成分は炭水化物で約70%含まれ、その主体はでんぷんです。

その次に多いのは、たんぱく質で約12%含まれています。

そばのたんぱく質を形成するアミノ酸は、米や小麦、とうもろこしなどの他の穀類では不足しがちなリシンやトリプトファンなどの必須アミノ酸が多く含まれています。

したがって、そばは穀類のなかでもアミノ酸バランスがよく、植物性たんぱく質のよい供給源であるといえます。

 

 

 そば粥「カーシャ」

 

 

そばには、小麦に含まれ、食感に結着性や粘弾性を与えるグルテンを形成するたんぱく質のグリアジンとグルテニンが含まれていません。

そのため、そば切りには、食感を良くする目的で、つなぎとして小麦粉や卵白などが用いられ、つなぎを加えない十割そばはパサパサとした食感になります。

 

 

  そば粉のクレープ「ガレット」

 

 

またそばには、カリウムやリンなどのミネラルや穀類に不足しがちなビタミンB群も比較的多く含まれています。

そばにはフラボノイドの一種であるルチンが豊富に含まれており、そば粉100 g中に約15 mg程度含まれています。

ルチンには、抗酸化作用、抗炎症作用、血流改善作用、抗高尿酸血症作用など様々な健康に良い作用があると報告されています。

 

今後もそばから新たに疾病の予防や健康の維持・増進に寄与する成分が見出されることが望まれます。

 

 

【参考文献】

1. 奥村彪生 (2009) 日本めん食文化の一三〇〇年. 農山漁村文化協会.

2. 長澤治子 編著 (2017) 食べ物と健康 食品学・食品機能学・食品加工学 第3版. 医歯薬出版.

3. 水品善之ら編 (2015) 栄養科学イラストレイテッド 食品学Ⅰ 食べ物と健康―食品の成分と機能を学ぶ. 羊土社.

4. Giménez-Bastida JA, et al (2015) Buckwheat as a Functional Food and Its Effects on Health. J Agric Food Chem 63(36):7896-7913.

5. Adachi S, et al (2021) Comparative effects of quercetin, luteolin, apigenin and their related polyphenols on uric acid production in cultured hepatocytes and suppression of purine bodies-induced hyperuricemia by rutin in mice. Cytotechnology 73(3):343-351.

 

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