高血圧に良い食習慣

2018/12/01 コラム

高血圧に良い食習慣

我が国には、4300万人以上の高血圧の患者がいると言われています。多くの方は高齢者になると血圧が高くなりますが、そのまま放置すると、血管や心臓に負担がかかり、自覚症状がなくても動脈硬化や心臓肥大が進み、多くの循環器病が起こります。最近では、高血圧が認知症にも関係があると言われています。高血圧は、ありふれた病気ですが、放っているのは良くなく、治療が大切です。

 

治療の中でも、生活習慣を改善することが、とても大切です。その中でも、自分にとってもご家族にとっても効果的な良い食習慣について、ご説明したいと思います。

 

(1) 塩分の取りすぎには用心しましょう。

(2) 太りすぎには気を付けましょう。

(3) 野菜や果物を摂りましょう。

(4) コレステロールの取りすぎには、用心しましょう。

(5) 魚を積極的に摂りましょう。

(6) お酒は適度にたしなみましょう。

(7) 禁煙しましょう。

 

食塩制限は特に重要で、目標は1日6g未満です。日本人の食塩摂取量は1日約10gと多く、このことをしっかり踏まえて減らす必要があります。血圧への効果は個人差がありますが、1g減らせば1mmHg程度下がります。方法は塩や醤油の使用を減らすこと、外食や加工食品に注意することなどです。素材の味を生かして、出汁のうまみを使って、酢・香辛料を用いると良いでしょう。

 

野菜や果物は、カリウムやマグネシウムを多く含み、血圧を下げる効果があります。食物繊維も血圧やコレステロールを下げます。カルシウムも血圧にはよく、低脂肪乳製品の摂取が勧められています。ただし、腎臓が悪い方は、野菜や果物は血清カリウムを上げますので要注意です。

 

コレステロールと飽和脂肪(動物性脂肪)の制限は、血圧にはあまり影響しませんが、動脈硬化の進行を抑えるように働きます。一方、魚(魚脂)は多く摂ると血圧が少し下がり、血液の脂質も改善します。

 

肥満の人は減量が重要です。減量の降圧効果は明らかで、1kgあたり約1mmHgの血圧低下が期待できます。糖・脂質代謝も改善し、メタボリックシンドロームの予防や治療に効果的です。減量には食事のカロリー制限が主体となりますが、運動も重要です。

 

 

運動は減量に有効であると同時に、それ自体によい効果があります。ウオーキングのような軽い運動を、定期的に(なるべく毎日30分以上)行うことをお勧めします。運動によって血圧は5~10mmHg低下し、糖・脂質も改善し、循環器病は少なくなることが分かっています。

 

 

アルコールの飲みすぎは日中の血圧を上げますので、制限が必要です。目安は男性でビール中ビン1本か日本酒1合までです。ただし、飲酒後しばらくは血圧はむしろ下がり、24時間の平均血圧値は飲んでも飲まなくてもそれほど変わりません。循環器病や死亡率についてみると、少量では好ましい影響がありますが、大量では悪影響が強くなります。

 

たばこは、禁煙が強く求められています。喫煙は動脈硬化を促し、血圧もたばこを1本吸うたびに上がります。喫煙者は非喫煙者に比べて、循環器病、がん、全体の死亡率がそれぞれ1.5~2倍になり、禁煙によってこれらのリスクは大幅に低下することが分かっています。

 

 

 

 

 

 

 

 前のページに戻る

ログアウトしました。