
2026/02/01 コラム
植物の二次代謝産物とアロマセラピー
植物は、単純な化合物(二酸化炭素、水)から生存に必要な一次代謝産物(糖、アミノ酸、脂肪酸)を生み出すと同時に、生存に必要ではないけれど自然界で生き抜いていくための道具として二次代謝産物も生み出します。
たとえば昆虫に花粉を媒介してもらうために、花は昆虫にとっていい香りがする物質を放出します。
二次代謝産物には、このように昆虫を誘う成分の他にも捕食者を攻撃する毒物(トリカブトの毒(アコニチン)など)や、微生物の侵入を防ぐ抗菌物質(茶葉のカテキンなど)など、様々な種類があります。
特に植物にとって有害なものから身を守るために生み出された二次代謝産物を「ファイトケミカル」(phytochemical, phyto=植物、chemical=化学物質)と呼びます。
ファイトケミカルを豊富に含むものがハーブやスパイスです。
食物として摂取したり、アロマセラピーなどで香りを嗅いで心身の調子を整えることに役立ってくれます。

アロマセラピーでは植物から抽出した精油を使います。
香気成分が凝縮していて、様々な効果がうたわれています。
有名なところでは、ラベンダーの、リラックス効果・不眠症に対する効果・抗うつ効果・疲労回復効果、その他多岐にわたって示されています。
これらの効果は、ラベンダーに多く含まれている酢酸リナリルやリナロールという成分によるものです。
他にリナロールを多く含む植物にクロモジがあります。
クロモジは、抹茶をいただく際のお菓子についてくる楊枝の原料となる木です。
クロモジの香りと抗菌作用が注目されて、江戸時代に楊枝への加工が始まりました。
江戸時代の人はすでにファイトケミカルを取り入れ、アロマセラピーを実践していたのですね。
アロマセラピーというとラベンダー、オレンジ、ゼラニウム、ユーカリなど、西洋の精油が今までは中心でした。
しかし最近はクロモジ、ユズ、ヒノキ、ホウショウ、スギなど和精油も生産されるようになっています。
特にユズは、冬至の時のゆず湯などで日本人にはなじみ深い香りです。
ユズの香気成分はレモンなどと同じリモネンが多いのですが、あのユズ独特の香りは「ユズノン」という香気成分によるものです。
かわいい名前ですね。
和精油を使ったアロマセラピーもこれからますます発展していくでしょう。
